♦基本目標に対して
1 健康で明るい「生き甲斐づくり」
日々の施設内におけるうがい、手洗い、消毒、換気、密の回避及び検温の実施、そしてコロナワクチン接種によって、新型コロナウイルス第8波の到来時にも感染者及びクラスターの発生を抑える事ができた。
また突発的に発熱者が出た際にも、コロナウイルス発生時マニュアルに則って円滑に対処する事ができた。
外出行事については、新型コロナウイルス感染予防を徹底し、さらに場所及び時間帯を厳選することで概ね実施でき、入所者の心身の健康に繋がった。しかし、ふるさと訪問及びショッピングに関しては接触感染が強く懸念されることから見送った。面会については、家族との繋がりを重要視することから、施設玄関先での面会を短時間ながら実施した。入所者全体として年々家族との関係性が希薄化する中においては、貴重な機会となり入所者に希望を与える事ができた。
また、楽しみの一つである食事ではバイキングを企画し、そのテーマに合った味付けや盛り付けで味覚、嗅覚及び視覚とで楽しめる非日常的な時間を提供する事が出来た。さらに、身体状況に合わせた食事形態が増加傾向にある中でも、美しくまた美味しく提供できるよう工夫することで、普通食と遜色ない質の高い食事を提供できた。
2 入所者個別支援の向上
コロナ禍において身体機能の低下、心身の不調が懸念され体重増加、ストレス増大の解消が課題となった。ヨガやリハビリ、レクリエーションを通し、基礎体力の維持、ストレスの解消に努めた。
活動量という点で日中活動を個別に見直し、身体能力と自身の希望を勘案し活動区分によるプログラムを検討。特に清掃活動においては、賃金を支払うことでより積極的に参加し習慣化され、居室滞在時間の減少に繋がった。今後、参加回数以上に活動内容の充実化が課題となる。
高齢化により病院の複数科受診、原因、確認の取れない転倒、骨折の増加が顕著となった。自身の体調の変化を表現することが困難な入所者も少なくない。小さな変化が重大な疾病や怪我に繋がりかねないため、身体の観察、言動の変化を軽視すること無く、職種間で情報共有し統一された支援を行い心身の安定に努めた。
特に、精神疾患を患う入所者の中でも、傾聴を必要とする者、独自の観念によって行動する者など、日頃の観察力を要する場面が増加。当事者、他入所者の安心及び安全な施設生活に繋がるよう医療機関との連携を図り、一人一人に合った支援を心がけた。
新型コロナウイルス感染防止に関しては、入所者全員に同意を得てワクチン接種を5回済ませる事ができた。
3 入所者地域移行の促進
令和4年度は、就労、自立希望者に対し、就職活動に必要な情報、履歴書作成の指導、福祉事務所との連絡及び調整等行い、1名の入所者を社会復帰させる事が出来た。また、自立希望者に対し社会情勢の知識や情報を提供、収支計算、通院の必要性等を共に検討することで、各段階での目標設定を明確化し社会生活に向け、積極的に施設生活を送る原動力とする事ができた。
4 地域福祉への役割
地域社会との交流については、老人クラブや、地域住民の方々、保育園の園児等と積極的に交流していたが、新型コロナウイルス感染予防の観点から昨年同様中止している。
また、高齢者世帯への給食サービス等を通じて地域貢献を行っているが、配達先の新型コロナウイルス罹患時にも的確に対応し、平時と変わりなく食事提供を行い、食の安定に貢献できた。
一方、情報開示の点では、年2回広報誌発行の他に、ホームページにて施設内の行事の様子を定期的に発信した。
さらに生活困窮者に向けた相談支援窓口業務に関しては、認知度が低い事もあり0件であった。今後、施設の機能を公開すると同時に、施設側から地域へ出向き現状把握に当たりニーズに合った情報提供を行うことが課題となる。
5 職員の資質向上
新型コロナウイルス感染防止のため、参加型研修が中止となりオンラインによる研修会が主流となった。
田の浦荘との共同勉強会を毎月行い、各職員が自ら関心のある研修会を選択し主体的に受講した。
施設内研修においては、特別委員会が主体となって多様化するハラスメントの基礎知識から、現代社会では避けられないメンタルヘルスに関して学習した。また、入所者支援に直結する技術的な研修を展開し、安全な支援に繋げる視点を身に着け実践に繋げる事ができた。
勤務態勢の確立として、各部署コロナウイルスを施設内に持ち込ませないように日頃からの行動も管理し、職員は定期的に抗原検査を実施することで、感染の早期発見とクラスター防止に繋げると同時に、安全に入所者支援に当たる事ができた。
6 運営費の効果的活用と適正な経理事務
施設整備計画の見直しを具体化する時期となった。施設移転に関し地域交流や、地域貢献事業の実現を目指し、地域住民の方々の理解と支援を得ることが喫緊の課題として継続している。
耐用年数を超え、複数箇所で不備、故障が頻発するようになった。安全性と生活の質を維持していくため、運営費の効果的な活用を検討し安全及び安心な生活に繋げる事ができた。
またコロナウイルス感染防止の観点から、閉鎖的になりがちの中、可能な限り外出行事を取り入れ心身のリフレッシュに運営費を活用した。どの行事も一定数の参加があり、生活の質の向上という観点で効果がみられた。
7 その他
(1)防災について
避難訓練を重点にその方法と効果を考えながら行っているが、入所者の高齢及び重度化に備え、主に自衛消防組織体制の見直し及び役割毎の訓練等、避難時の安全を考慮して実施した。防災訓練月の前月には役割毎の訓練を実施し、二重の訓練とした。梅雨時期や台風接近時には、風水害対策会議を随時行い、入所者の支援体制を強化した。
(2)施設内リスク管理について
(ア)入所者の転倒等による骨折が5件と増加。随時改善点を検討し再発防止に努めたが、明確な原因が分からない怪我もあることから、介護技術の向上等研鑽を積むと共に統一された支援を行う。
(イ)服薬管理に関しては、誤薬投与、薬のセットミスとあった。段階的な確認行為でミスを発見し事故を未然に防ぐこともあった。再度、命に関わることを意識して、常に緊張感をもってあたらねばならない。
(ウ)食事に関しては、異物混入があった。唯一の楽しみである食事に不信感を抱かせないように、薬同様に異状を意識して配膳にあたる必要がある。
(エ)平時から安全及び防災意識を高めるため、客観的な安全点検の実施や防災マニュアル、BCP(業務継続計画書)の見直し作成を行った。
令和4年度 入所者の状況(令和5年3月31日現在)
[男性:30名、女性:23名、合計:53名]
平均年齢 | 全体67.3歳 (男性 65.6歳・女性 69.6歳) |
在所期間 | 全体12年1月(男性10年0月・女性14年8月) |
入退所状況(令和3年度・令和4年度)
令和3年度 | 令和4年度 | ||||||
入所 | 退所 | 入所 | 退所 | ||||
自宅・AP | 2 | 自宅・AP | 2 | 自宅・AP | 2 | 自宅・AP | 1 |
他施設 | 1 | 他施設 | 0 | 他施設 | 0 | 他施設 | 0 |
病院 | 4 | 入院 | 6 | 病院 | 3 | 入院 | 3 |
その他 | 0 | 死亡 | 2 | その他 | 2 | 死亡 | 0 |
合計 | 7 | 合計 | 10 | 合計 | 7 | 合計 | 4 |
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