♦基本目標に対して
1 健康で明るい「生き甲斐づくり」
新型コロナウイル感染症の位置づけが5類となったが、これまで同様の感染予防対策を継続した。日帰り旅行や選択レクリエーションはコロナ禍前に戻し、計画通り実行出来た。更に接触感染を懸念し見送っていたふるさと訪問を再開した。家族や親類も高齢化しており、家族と接する時間はかけがいのないものと感じた。家族と交流出来たことは一層の喜びと今後の活力となった。施設での面会においては、施設玄関先での面会を短時間ながら実施した。面会できなかった時間を埋めるかの如く、互いの近況を確かめ合う姿が見られた。
食事に関しては外食を取り入れたことで、楽しみの幅が広がり、同時に食事のマナーを学ぶ良い機会にもなった。施設内での食事では異物混入の件があり、より一層の衛生面への注意や確認が必要と反省した。
さらに、作業関係では農作業や清掃活動に対しての賃金を支払った。その賃金を元に近くの店舗でショッピングを実施した。少しずつではあるが、働く事の喜びを体感出来る機会となった。
2 入所者個別支援の向上
個別支援計画の立案に際し、個々の将来像を聞き取り、それに合わせた目標設定と具体的に取り組む内容を相互確認した。入所者が目標を身近に意識出来るよう、会話の時間を利用して取り組み度に対しての助言を行った。
自立を希望する者には、収支計画作成や試算、免許状の再取得の支援、求職活動の支援等、就労支援を行った。また、施設生活を望む者には「能力に応じた自立」を目標とし、体力の維持・向上、規則正しい生活リズムの構築を目指し支援した。さらに遊びリテーションを通し心身の健康づくりに取り組んだ。マンネリ化しがちな要介護者の日常においても、外出等を企画し楽しみを提供できるよう工夫した。
高齢化により病院の複数科受診が増加している。自身の体調の変化を表現することが困難な入所者もおり、身体の観察や言動の変化を軽視すること無き様、職員間で情報を共有し統一した支援を行った。
支援や助言に対しての不満もある中、対応に苦慮することも多いが、職員間の連携やサポートにより安全に対応出来た。
3 入所者地域移行の促進
令和5年度は1名が家族の支援を受けながら退所に至った。
また居宅生活訓練事業を2年ぶりに再開した。調理や買い物、交通機関、金融機関の利用方法等を訓練した他、施設内において就労訓練を行った。対象者3名共最後まで訓練出来たものの、金銭管理能力に欠ける点等あり地域移行には結びつかなかった。
4 地域福祉への役割
熊本県や芦北町社会福祉協議会の協力を得て、困窮者世帯、被保護世帯の児童・生徒を対象に弁当の提供を行った。生徒との交流を通し、家庭の様子は窺い知ることが出来たものの、相談援助に繋げるまでは至らなかった。今後も関係構築を図り相談援助を継続する。
一方で、地域の高齢者世帯への給食サービスについては、芦北町からの依頼に対応し食の確保及び高齢者の安否確認にも寄与出来た。
情報開示の点では、年2回広報誌発行の他に、ホームページにて施設内の行事の様子を定期的に発信した。
5 職員の資質向上
全国救護施設協議会、九州地区救護施設協議会、熊本県救護施設協議会が主催する研修会においては、テーマに合わせ職員を選択し参集型で参加した。熊本県社会福祉協議会が主催する研修会においては、各職員が関心のある研修会を選択し主体的に参加した。
施設内研修においては、特別委員会が主体となって、リスク管理やコミュニケーションに関する研修を行った。安全な支援に繋げる視点を身につけ実践に繋げる事ができた。また、有給休暇取得を奨励し職員のメンタルヘルスについて配慮を行った。
6 運営費の効果的活用と適正な経理事務
施設移転に関し地域交流や、地域貢献事業の実現を目指し、地域住民の方々の理解と支援を得ることが喫緊の課題として継続している。複数箇所で不備、故障が頻発するようになった。安全性と生活の質を維持していくため、運営費の効果的な活用を検討し安全及び安心な生活に繋げる事ができた。
7 その他
(1)防災について
避難訓練を重点にその方法と効果を考えながら行っているが、入所者の高齢及び重度化に備え、主に自衛消防組織体制の見直し及び役割毎の訓練等、避難時の安全を考慮して実施した。特に自力避難が困難な者への支援方法が全体の命を守る上でカギとなる。防災訓練月の前月には役割毎の訓練を実施し、二重の訓練を行い入所者の支援体制を強化した。
(2)施設内リスク管理について
①入所者の転倒が多く見受けられ、ヒヤリハット総数の半分を占める割合となった。大半は基礎体力の衰えが懸念される。再発防止のため、安全を第一に考えるとともに、技術の向上等研鑽を積み統一した支援を行なっていく。
②服薬管理に関しては、誤薬投与、重複投与、未投与とあった。医療的にも命に関わることを常に意識して、緊張感をもってあたらねばならないと反省した。
③食事に関しては、異物混入があった。唯一の楽しみである食事に不信感を抱かせないように、薬同様に異状を意識して配膳にあたる必要がある。
④平時から安全及び防災意識を高めるため、客観的な安全点検の実施や防災マニュアルに則った訓練を行った。
令和5年度 入所者の状況(令和6年3月31日現在)
[男性:28名、女性:22名、合計:50名]
平均年齢 | 全体67.2歳 (男性 65.7歳・女性 69.1歳) |
在所期間 | 全体11年1月(男性8年6月・女性14年4月) |
入退所状況(令和4年度・令和5年度)
令和4年度 | 令和5年度 | ||||||
入所 | 退所 | 入所 | 退所 | ||||
自宅・AP | 2 | 自宅・AP | 1 | 自宅・AP | 3 | 自宅・AP | 2 |
他施設 | 0 | 他施設 | 0 | 他施設 | 1 | 他施設 | 1 |
病院 | 3 | 入院 | 3 | 病院 | 3 | 入院 | 3 |
その他 | 2 | 死亡 | 0 | その他 | 0 | 死亡 | 4 |
合計 | 7 | 合計 | 4 | 合計 | 7 | 合計 | 10 |
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